マイナー映画を観る

オトコタチノ狂 [DVD]

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どんだけマイナーかって土方副長が登場しているにも関わらず私が今日の今日まで知らなかったくらいマイナー。


孤独に暮らす引き籠り青年、櫻井のもとに突如土方歳三中岡慎太郎中村半次郎久坂玄瑞の四人が幕末からタイムスリップ。当初は殺し合い寸前だった四人だが、仕方なくの同棲生活、櫻井との交流を経て徐々に心を通わせていく。しかし、近所で起きた殺傷事件、日本刀を所持する四人が目撃された事により、機動隊が出動する事態に…


とストーリーを説明するとコメディっぽいし、そもそもこの手のタイムスリップものって基本ドタバタコメディか痛快世直しものになりがちですが、本作はあくまでリアル。四人の性格も必要以上にコメディしておらず、「あー、確かにこの人達が現代に飛ばされたらこんな感じかも」と思わせてくれる。
自主制作映画故の予算の問題か、ストーリーのほとんどが櫻井の部屋で展開するのだが、派手なアクションも何もない代わりに五人の交流がしっかりと描かれ、五人に絆が生まれる展開にも違和感を感じさせない。四人が最終的にひとつになり、櫻井を自分達とは無関係の人質だと思わせる為に死を覚悟して機動隊に突っ込むシーンは泣ける。


のだけども。その後のラストが、うーん…多分監督はこのラストにしたくてこの映画を作ったんだろうなー、というのは感じたので、「ラストはこうした方がいい」というのも野暮なのだろうけれど…もうちょっとどうにかならなかったかなぁ。惜しい
他にも惜しいのは中盤少し中弛みする所かなー。タイムスリッパーの四人が現代文明、文化に驚くシーンはブツ切りでたくさん見せるよりも、しっかりしたのを2、3個見せた方が四人の反応をしっかり見せれて面白かったんじゃないかと。
後、これはわざとなのか何なのか、説明が少ない。序盤櫻井がバカカップルの男を殺したようなイメージ映像が入るのだけど、これが本当に殺したのか妄想なのかもよく分からないし、一度櫻井の部屋を出た四人は何かの事件を起こして引き返してくるのだけど、この事件に関する説明もない。だから最終的に機動隊出動となったのも、櫻井のせいなのか四人のせいなのか、はたまたどちらも無関係なのかよく分からない。まあストーリー展開に関係ないっちゃあ関係ないので、これはこれでいいのか?


ともかく決して名作ではないけど、佳作。幕末好きなら観て損はない。かも。
つーか竜馬じゃなくて中岡慎太郎、桂でも高杉でもなく久坂玄瑞ってのが渋いですよね。




話は変わりますけれども、今冷静になって考えると反逆の物語のラストって、CMを観て当初皆が思い描いた『まどか復活』を実際にやりながら、まどマギっぽく『バッドエンドっぽい描写』もやってるという絶妙な落とし所なんだなぁと思うのです。
そう考えると、ブックレット等を読んで感じた『虚淵は新房と比べて続編作りたくなさそう』感も納得いくし、これ続編なくていいなとも思えてくるのです。だって続編作ったら『視聴者の希望を蔑ろにしたバッドエンド』か『まどマギっぽくないハッピーエンド』にしかならないでしょうし、その二択なら多分バッドエンドが来るでしょうし。もしまた上手い落とし所を見つけたとしても、多分今回より上手くは落とせないでしょうし。落とせても今回の二番煎じ感は拭えないじゃないかと。
もし二番煎じ感なく、今回より上手く落とされたら…その時は素直に兜を脱ぐしかないので、虚淵SUGEEEEEっ言いながら鎧武を観ようと思いますw


まあ何だかんだ言っても続編があれば観に行くんでしょうけどねー。ツンデレktkr。