夏の終わり

あたし、その人を見た時から嫌な予感してたんだ。まあ仮にAさんとしときましょうか。
Aさん妙〜に口元を隠してるんだなぁ。こっちに声が漏れないようしっしに抑えてる。でもって、ゾクーッとする。Aさんに近付くと何か寒い。
嫌だな〜怖いな〜気持ち悪いな〜、あたしもそう思ったんだけど、仕事ですからねぇ。話を聞かないわけにもいかない。
どのくらい時間がたったか分からないけど、気が付けばAさんもういないんだなぁ。
でも、ゾクーッとする。Aさんもういないんですよ?でも確かに感じる。いる。周りのスタッフは何も気付いてないんだ。呑気にあ〜でもね〜こ〜でもね〜喋ってる。でもあたしだけな〜んか寒い。
あれ〜おかしいな〜何だかやだな〜…そう思ってると、とたんに吐き気。あたしあるんですよ。そういう場所だとか物?近付くとえずくんだ。体中もな〜んかダルい。
ありえないんだ、こんな事。ついさっきまで何もなかったんですよ?他の方何も気付いてない。でもあたしだけ?あたしだけもうみょ〜なダルさで体動かない。金縛りってやつですよ。
よせや〜い、あの女生きてる人間じゃね〜んじゃね〜か〜?何て考えてると、とたんに意識がスーッ…と…
その時ね、あたし気付いちゃったんです。これ間違いなく…風邪ですよね。


うん、完全にうつされましたね。
学生の頃は学校休みたくて何なら風邪ひこうと努力してたくらい風邪ひかなかったのに、社会人になってから毎年やられてますね。これ、間違いなく多分、老化ですよね。